平成16年6月23日の読売新聞朝刊に千葉県立成東高校の用務員のAKさんという方がオオムラサキを飼育250頭ほど羽化したとの記事が掲載されていたのを見て早速、翌日の24日に成東高校へ出かけた。AKさんに初めて会い自己紹介をした。飼育ハウスは幅6m×奥行き6m×高さ4,5m、4mm目の網を使用のハウスで、今年平成17年1月に越冬幼虫を数えた結果1000匹の幼虫を確認したと聞いた。ところで平成15年(2003年)、日本鱗翅学会発行の「日本産蝶類の衰亡と保護第5集」によると千葉県の成東地域でオオムラサキは生存が現在まで確認されていないというので、ここのオオムラサキは何処から入手されたのかと尋ねたら、次のような話をされた。もともとは千葉市在住の元千葉県立千葉東高校の教諭、NM先生から分けて頂いたということで、純然たる千葉産、最初は成東高校のIT先生が20年ほど以前にNM先生から幼虫を分けて頂き飼育を始めたもので、IT先生が千葉県立茂原農業高校へ転校になったのでAKさんが17年前に飼育を引き継いだということだった。IT先生も茂原市の自宅に大きなハウスを所有、かなりの数を飼育している。平成12年6月の千葉日報に奥様と共に掲載された記事を見たことがある。成東高校を訪問する以前の5月に千葉市役所公園建設課のSKさんという方からNM先生のことを聞き数日後、先生宅を訪ねた。その時の話に先生は昭和38年(1963年)に千葉市内の林でオオムラサキの越冬幼虫を300頭ほど採集、自宅で飼育、以来42年もの長きにわたり飼育され毎年成虫を放蝶しているとのこと、驚きで頭が下がった。先生は種の保存について相当に尽力されていると思った。平成16年1月、2月に採集した越冬幼虫を全滅させてしまったことをAKさんに話したら約100個ほどの受精卵をくださった。いただいて2日経過後に待望の幼虫(1令)が15匹孵化した。産卵から約5日間での孵化である。孵化した幼虫は体長3mm以下の小さなもので、アリに食害されることが多く、アリには注意をしなければならないと云われていたので、ゴースで袋を作り被せた。エノキは7号鉢での培養なので管理がし易いので安心していたのがあだとなり、アリが鉢の周りを徘徊しているので、アリ退治の薬剤を回りに散布した。その結果、薬剤が気化して幼虫は全滅。またまた大失敗だ。
AKさんに恐縮しながら失敗を話したら、みんな2度や3度は失敗しているというではないか。次回は注意して飼育を成功させなければと思った。6月27日NM先生から♂、♀各1頭、6月29日AKさんから交尾済みの♂、♀各2頭を頂いた。自宅飼育のハウスは幅1.2m×奥行き0.5m×高さ1.8mの小さなもので、エノキの植木鉢を3鉢入れられるのがやっとのスペースだが、7月1日に約100個の産卵が確認された。以降7月11日までに2本のエノキで産卵が見られ、7月15日には孵化した1令幼虫を約200匹確認した。
早速、NM先生とAKさんに報告して喜ばれた。
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産卵 |
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受精卵 |
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