2011年11月27日日曜日

ちょうちょうと遊ぼう

12:05 2011/11/27

   ちょうちょうと遊ぼう
 
年を越して4月下旬から5月上旬にエノキの新芽が小指の爪ほどに伸びるころ冬眠から起きて(眠起)摂食を開始する。食欲旺盛で摂食し、約1ヶ月で終令となり蛹になる準備(前蛹)に入り1、2日で蛹(蛹化)となる。約20日できれいなチョウに変身(羽化)するのである。自然界は厳しく見事なチョウに羽化できるのは、1000個の卵のうち2匹か3匹だそうだ。幼虫の時にアリや野鳥などの天敵に犯され、蛹となってからは寄生する蜂にやられるものがすくなくない。幼虫2匹、飼育したゴマダラチョウの蛹2個は天敵のシロコブアゲハヒメバチという長たらしい名前の寄生蜂にやられた。蛹の中身を食い荒らして殺し、のうのうと羽化してくる本当に憎たらしい寄生蜂だ。


 
シロコブアゲハヒメバチの幼虫蛹化して
から3日後に解剖  

                          
   シロコブアゲハヒメバチ羽化体長約25mm
3月下旬、オオムラサキの幼虫35匹のうち23匹を、ゴマダラチョウの幼虫23匹のうち13匹をそれぞれ6ケ所に分けて放虫した。果たして何匹が成虫に成ったか定かではないが、7月下旬から8月上旬にかけて、オオムラサキが4頭飛ぶのを確認、ゴマダラチョウは姿を見ることができなかった。聞いたところゴマダラチョウは例のシロコブアゲハヒメバチにやられるのが非常に多いそうだ。確かに2匹とはいえ飼育して2匹ともその蜂に寄生されたとは聞いた話が実証できる。想像では多分、越冬する前、幼虫の体内に1個の卵を産みつけ、母体が越冬するにつけ卵も越冬し、翌年幼虫の眠起とともに卵が孵化、小さな寄生虫で母体が蛹になるのを待ち、蛹化すると同時に母体を食い荒らして肥大する。ゴマダラチョウはだいたい14,5日で羽化するのだが、寄生蜂に犯されたものは母体の羽化予定日から約10日後にシロコブアゲハヒメバチが蛹から羽化するようだ。したがって羽化の予定日が過ぎても羽化しない蛹は寄生蜂に寄生されていると見て間違いない。
ゴマダラチョウの姿が見られなかったのは、寄生蜂はもとより飛ぶ時間帯がありその時間帯に自分が観察に行けなかったのが原因ではないか?朝、昼、夕方とチョウによって飛ぶ時間帯があるそうだ。手持ちのオオムラサキ12匹の幼虫だが、4匹が死亡、8匹は植木鉢のエノキが気に入らないと見えて逃亡してしまった。ゴマダラチョウ10匹のうち8匹はやはり逃亡し、2匹は蛹となってからシロコブアゲハヒメバチにやられたので、結局越冬幼虫からの最初の飼育は全滅失敗の結果となってしまった。  


2011年11月19日土曜日

ちょうちょうと遊ぼう

13:41 2011/11/19

    
 国蝶オオムラサキの越冬幼虫の調査(2)

亀崎地内の林の探索、成虫の吸汁するクヌギはかなりの数があった。エノキはその林内には見当たらなかったが、外郭の道路に面したところには数本のエノキの大木があるから生息は可能と思われた。四街道市千代田3丁目地内のエノキの大木3本、根元の枯葉裏に静止のゴマダラチョウの越冬幼虫を5匹発見、その場に保存、来年の初夏には元気でたくさんの卵を産んでくれ!と声をかけた。結果は定かではない。11月の越冬幼虫の数を調査するしか方法がない。オオムラサキの幼虫は背中に4個の三角の突起物をもつが、ゴマダラチョウは3個の突起物を持っているからオオムラサキとは区別が簡単明瞭だ。佐倉市あぜ畔た田地内、同おぶかい生谷地内のエノキでもゴマダラチョウの幼虫しか発見できなかった。

平成16年1月30日千葉市営平和公園内のエノキでとうとうオオムラサキの越冬幼虫を21匹、2月15日に13匹、公園東隣接地で1匹、それぞれ発見、やはり千葉市内にもオオムラサキは生息していたのだ。発見した時の歓びは何ともいえない快感が体の中を走った。幼虫に乾杯だ!
  
     
  越冬中のオオムラサキ

   
  越冬中のゴマダラチョウ

体長13mm~15mmくらいの小さな幼虫だ。見れば見るほど愛しいものだ。これが夏に大きな幼虫になって蛹となり、きれいな国蝶オオムラサキに変身するとは想像できない。
11月中旬のころ、食樹のエノキから越冬のため根元の落ち葉へと降りる。自分の気に入った落ち葉の裏で糸を張って冬眠にはいるのである。

2011年11月15日火曜日

ちょうちょうと遊ぼう

10:36 2011/11/15

国蝶オオムラサキの越冬幼虫の調査(1)


もともと千葉県北部、千葉市、四街道市、佐倉市等には生息していたと聞いていたので、千葉の地元でオオムラサキが飛んだら素晴らしいとの思いから越冬幼虫の探索を平成16年1月から開始した。
調査するにあたり、自宅から半径20km以内の林を選んで調査を進めることにした。千葉市若葉区多部田町地内、千葉市営平和公園、同東隣接地、同西隣接地、千葉市若葉区小倉町地内、千葉市若葉区加曾利貝塚地内、千葉市若葉区月の木塚古墳地内、千葉市若葉区仁戸名市民の森、四街道市内黒田地内(四街道市営霊園南北)、四街道市千代田3丁目地内、四街道市亀崎地内、佐倉市畔田地内、佐倉市生谷地内、佐倉市羽鳥地内、等を目的地と定めて調査を開始した。


      
       
      平和公園東隣接地

 
月の木塚古墳















オオムラサキだけではなくそこに生息しているチョウについても採集、そのチョウが食している植物の生育状況等も調査の目標とした。開発による環境の変化で、昔の生息種と現在の生息種との比較、絶滅の種、新しく侵入してきた種などの調査である。自然の開発行為を止めろと言ってもそれは地権者、国の事情で無理なことであろう。開発されて虫食い状態にされた少しばかりの土地で今後生きられるチョウ、死滅するチョウを調べるのもなかなか興味のあることだ。人と生き物の係わり合い、自然の仕組み、興味はつきない。千葉市若葉区小倉町地内、若葉区多部田町地内、若葉区仁戸名町市民の森、四街道市内黒田地内、多数のエノキがあるのだが、オオムラサキの越冬幼虫は発見できなかった。


      
四街道市内黒田地内


同左
去年オオムラサキの成虫を亀崎地内で見かけたという人に四街道市 内黒田地内で出会った。その人の言うには10年ほど以前まで狩猟をしていて夏の猟場の調査でオオムラサキの飛ぶのを見たと言っていた。以前にはかなり普通に見られたようだが、現在ではたまに出会うだけだと言っていた。数は少ないが生息していることは確かであろうと思われ、いよいよ探すのに希望が持てた。

2011年11月7日月曜日

ちょうちょうと遊ぼう

13:51 2011/11/07


    千葉市・四街道市に生息の蝶、以前との比較


千葉市では1967年(昭和42年)56種(千葉県昆虫同好会調べ)このほか図鑑によると2種、(ウラゴマダラシジミ、テングチョウは以前からいた様で42年当時たまたま採集できなかったものではないかと思われ、この2種を追加すると58種で、2004年(平成16年)以降、2007年までの4年間の採集で、39種、自分一人の採集なので確かな数字ではない結果だが、うち3種は新規採集したもので、この3種は、温暖化の影響と言い切れる現象で、関西以西に生活圏を持つ蝶であることがわかった。種名、クロコノマチョウ、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモンの3種で、食草が多くある関係で当地にて繁殖し、定着したものと思う。クロコノマチョウはイネ科のススキ、いね、たけ、ささ、など、ナガサキアゲハはみかん科のウンシュウミカン、キンカン、ユズ、サンショウ、カラタチなど、ツマグロヒョウモンはスミレ科のスミレ、ノジスミレ、パンジー、タチツボスミレなど多くのスミレ類など。採集結果の比較では、結局22種が40年の過去に森林や原野が開発された結果、限られた植物などを摂食する蝶が減少したのである。
生きているものすべてが持ちつ持たれつの関係にある。

 
      
     テングチョウ テングチョウ科

ウラゴマダラシジミ   シジミチョウ科

群馬昆虫の森、先生の話しで、“シジュウカラ”という野鳥の子育てを例にとると 5羽の雛が巣立つまでの約20日間、親鳥2羽が蛾の幼虫を約3500匹運んだことが確認されたそうだ。1羽あたり約700匹の幼虫を食したことになる。この時期は6月で蛾も産卵して幼虫が多く発生する時期と重なっている。鳥がそれら幼虫を食さなければそれこそ木の葉は食べつくされ、そこら一面、蛾でその被害は計り知れない。自然界ではそれぞれがみんな食うか食われるかの生存競争で均衡が保たれているのだ。


      
      クロコノマチョウ ジャノメチョウ科
ツマグロヒョウモン タテハチョウ科

ナガサキアゲハ アゲハチョウ科
食物連鎖の中で、世界中に約113万種いる昆虫は、人間を頂点とするならば、底辺に生き、すべてを支えてくれている生き物だ。人間は昆虫を無視することができないはずだ。
昆虫に感謝すべきと 思うのは自分一人の考えか、自然の仕組みを考えれば、感謝する気持ちになるに相違ない。
昆虫から教えてもらうことは少なくない。