2011年12月12日月曜日

ちょうちょうと遊ぼう

13:07 2011/12/12
                 
  
平成16年6月23日の読売新聞朝刊に千葉県立成東高校の用務員のAKさんという方がオオムラサキを飼育250頭ほど羽化したとの記事が掲載されていたのを見て早速、翌日の24日に成東高校へ出かけた。AKさんに初めて会い自己紹介をした。飼育ハウスは幅6m×奥行き6m×高さ4,5m、4mm目の網を使用のハウスで、今年平成17年1月に越冬幼虫を数えた結果1000匹の幼虫を確認したと聞いた。ところで平成15年(2003年)、日本鱗翅学会発行の「日本産蝶類の衰亡と保護第5集」によると千葉県の成東地域でオオムラサキは生存が現在まで確認されていないというので、ここのオオムラサキは何処から入手されたのかと尋ねたら、次のような話をされた。もともとは千葉市在住の元千葉県立千葉東高校の教諭、NM先生から分けて頂いたということで、純然たる千葉産、最初は成東高校のIT先生が20年ほど以前にNM先生から幼虫を分けて頂き飼育を始めたもので、IT先生が千葉県立茂原農業高校へ転校になったのでAKさんが17年前に飼育を引き継いだということだった。IT先生も茂原市の自宅に大きなハウスを所有、かなりの数を飼育している。平成12年6月の千葉日報に奥様と共に掲載された記事を見たことがある。成東高校を訪問する以前の5月に千葉市役所公園建設課のSKさんという方からNM先生のことを聞き数日後、先生宅を訪ねた。その時の話に先生は昭和38年(1963年)に千葉市内の林でオオムラサキの越冬幼虫を300頭ほど採集、自宅で飼育、以来42年もの長きにわたり飼育され毎年成虫を放蝶しているとのこと、驚きで頭が下がった。先生は種の保存について相当に尽力されていると思った。平成16年1月、2月に採集した越冬幼虫を全滅させてしまったことをAKさんに話したら約100個ほどの受精卵をくださった。いただいて2日経過後に待望の幼虫(1令)が15匹孵化した。産卵から約5日間での孵化である。孵化した幼虫は体長3mm以下の小さなもので、アリに食害されることが多く、アリには注意をしなければならないと云われていたので、ゴースで袋を作り被せた。エノキは7号鉢での培養なので管理がし易いので安心していたのがあだとなり、アリが鉢の周りを徘徊しているので、アリ退治の薬剤を回りに散布した。その結果、薬剤が気化して幼虫は全滅。またまた大失敗だ。
 AKさんに恐縮しながら失敗を話したら、みんな2度や3度は失敗しているというではないか。次回は注意して飼育を成功させなければと思った。6月27日NM先生から♂、♀各1頭、6月29日AKさんから交尾済みの♂、♀各2頭を頂いた。自宅飼育のハウスは幅1.2m×奥行き0.5m×高さ1.8mの小さなもので、エノキの植木鉢を3鉢入れられるのがやっとのスペースだが、7月1日に約100個の産卵が確認された。以降7月11日までに2本のエノキで産卵が見られ、7月15日には孵化した1令幼虫を約200匹確認した。
早速、NM先生とAKさんに報告して喜ばれた。

     
       
    産卵
        
  
受精卵





                




 

2011年11月27日日曜日

ちょうちょうと遊ぼう

12:05 2011/11/27

   ちょうちょうと遊ぼう
 
年を越して4月下旬から5月上旬にエノキの新芽が小指の爪ほどに伸びるころ冬眠から起きて(眠起)摂食を開始する。食欲旺盛で摂食し、約1ヶ月で終令となり蛹になる準備(前蛹)に入り1、2日で蛹(蛹化)となる。約20日できれいなチョウに変身(羽化)するのである。自然界は厳しく見事なチョウに羽化できるのは、1000個の卵のうち2匹か3匹だそうだ。幼虫の時にアリや野鳥などの天敵に犯され、蛹となってからは寄生する蜂にやられるものがすくなくない。幼虫2匹、飼育したゴマダラチョウの蛹2個は天敵のシロコブアゲハヒメバチという長たらしい名前の寄生蜂にやられた。蛹の中身を食い荒らして殺し、のうのうと羽化してくる本当に憎たらしい寄生蜂だ。


 
シロコブアゲハヒメバチの幼虫蛹化して
から3日後に解剖  

                          
   シロコブアゲハヒメバチ羽化体長約25mm
3月下旬、オオムラサキの幼虫35匹のうち23匹を、ゴマダラチョウの幼虫23匹のうち13匹をそれぞれ6ケ所に分けて放虫した。果たして何匹が成虫に成ったか定かではないが、7月下旬から8月上旬にかけて、オオムラサキが4頭飛ぶのを確認、ゴマダラチョウは姿を見ることができなかった。聞いたところゴマダラチョウは例のシロコブアゲハヒメバチにやられるのが非常に多いそうだ。確かに2匹とはいえ飼育して2匹ともその蜂に寄生されたとは聞いた話が実証できる。想像では多分、越冬する前、幼虫の体内に1個の卵を産みつけ、母体が越冬するにつけ卵も越冬し、翌年幼虫の眠起とともに卵が孵化、小さな寄生虫で母体が蛹になるのを待ち、蛹化すると同時に母体を食い荒らして肥大する。ゴマダラチョウはだいたい14,5日で羽化するのだが、寄生蜂に犯されたものは母体の羽化予定日から約10日後にシロコブアゲハヒメバチが蛹から羽化するようだ。したがって羽化の予定日が過ぎても羽化しない蛹は寄生蜂に寄生されていると見て間違いない。
ゴマダラチョウの姿が見られなかったのは、寄生蜂はもとより飛ぶ時間帯がありその時間帯に自分が観察に行けなかったのが原因ではないか?朝、昼、夕方とチョウによって飛ぶ時間帯があるそうだ。手持ちのオオムラサキ12匹の幼虫だが、4匹が死亡、8匹は植木鉢のエノキが気に入らないと見えて逃亡してしまった。ゴマダラチョウ10匹のうち8匹はやはり逃亡し、2匹は蛹となってからシロコブアゲハヒメバチにやられたので、結局越冬幼虫からの最初の飼育は全滅失敗の結果となってしまった。  


2011年11月19日土曜日

ちょうちょうと遊ぼう

13:41 2011/11/19

    
 国蝶オオムラサキの越冬幼虫の調査(2)

亀崎地内の林の探索、成虫の吸汁するクヌギはかなりの数があった。エノキはその林内には見当たらなかったが、外郭の道路に面したところには数本のエノキの大木があるから生息は可能と思われた。四街道市千代田3丁目地内のエノキの大木3本、根元の枯葉裏に静止のゴマダラチョウの越冬幼虫を5匹発見、その場に保存、来年の初夏には元気でたくさんの卵を産んでくれ!と声をかけた。結果は定かではない。11月の越冬幼虫の数を調査するしか方法がない。オオムラサキの幼虫は背中に4個の三角の突起物をもつが、ゴマダラチョウは3個の突起物を持っているからオオムラサキとは区別が簡単明瞭だ。佐倉市あぜ畔た田地内、同おぶかい生谷地内のエノキでもゴマダラチョウの幼虫しか発見できなかった。

平成16年1月30日千葉市営平和公園内のエノキでとうとうオオムラサキの越冬幼虫を21匹、2月15日に13匹、公園東隣接地で1匹、それぞれ発見、やはり千葉市内にもオオムラサキは生息していたのだ。発見した時の歓びは何ともいえない快感が体の中を走った。幼虫に乾杯だ!
  
     
  越冬中のオオムラサキ

   
  越冬中のゴマダラチョウ

体長13mm~15mmくらいの小さな幼虫だ。見れば見るほど愛しいものだ。これが夏に大きな幼虫になって蛹となり、きれいな国蝶オオムラサキに変身するとは想像できない。
11月中旬のころ、食樹のエノキから越冬のため根元の落ち葉へと降りる。自分の気に入った落ち葉の裏で糸を張って冬眠にはいるのである。

2011年11月15日火曜日

ちょうちょうと遊ぼう

10:36 2011/11/15

国蝶オオムラサキの越冬幼虫の調査(1)


もともと千葉県北部、千葉市、四街道市、佐倉市等には生息していたと聞いていたので、千葉の地元でオオムラサキが飛んだら素晴らしいとの思いから越冬幼虫の探索を平成16年1月から開始した。
調査するにあたり、自宅から半径20km以内の林を選んで調査を進めることにした。千葉市若葉区多部田町地内、千葉市営平和公園、同東隣接地、同西隣接地、千葉市若葉区小倉町地内、千葉市若葉区加曾利貝塚地内、千葉市若葉区月の木塚古墳地内、千葉市若葉区仁戸名市民の森、四街道市内黒田地内(四街道市営霊園南北)、四街道市千代田3丁目地内、四街道市亀崎地内、佐倉市畔田地内、佐倉市生谷地内、佐倉市羽鳥地内、等を目的地と定めて調査を開始した。


      
       
      平和公園東隣接地

 
月の木塚古墳















オオムラサキだけではなくそこに生息しているチョウについても採集、そのチョウが食している植物の生育状況等も調査の目標とした。開発による環境の変化で、昔の生息種と現在の生息種との比較、絶滅の種、新しく侵入してきた種などの調査である。自然の開発行為を止めろと言ってもそれは地権者、国の事情で無理なことであろう。開発されて虫食い状態にされた少しばかりの土地で今後生きられるチョウ、死滅するチョウを調べるのもなかなか興味のあることだ。人と生き物の係わり合い、自然の仕組み、興味はつきない。千葉市若葉区小倉町地内、若葉区多部田町地内、若葉区仁戸名町市民の森、四街道市内黒田地内、多数のエノキがあるのだが、オオムラサキの越冬幼虫は発見できなかった。


      
四街道市内黒田地内


同左
去年オオムラサキの成虫を亀崎地内で見かけたという人に四街道市 内黒田地内で出会った。その人の言うには10年ほど以前まで狩猟をしていて夏の猟場の調査でオオムラサキの飛ぶのを見たと言っていた。以前にはかなり普通に見られたようだが、現在ではたまに出会うだけだと言っていた。数は少ないが生息していることは確かであろうと思われ、いよいよ探すのに希望が持てた。

2011年11月7日月曜日

ちょうちょうと遊ぼう

13:51 2011/11/07


    千葉市・四街道市に生息の蝶、以前との比較


千葉市では1967年(昭和42年)56種(千葉県昆虫同好会調べ)このほか図鑑によると2種、(ウラゴマダラシジミ、テングチョウは以前からいた様で42年当時たまたま採集できなかったものではないかと思われ、この2種を追加すると58種で、2004年(平成16年)以降、2007年までの4年間の採集で、39種、自分一人の採集なので確かな数字ではない結果だが、うち3種は新規採集したもので、この3種は、温暖化の影響と言い切れる現象で、関西以西に生活圏を持つ蝶であることがわかった。種名、クロコノマチョウ、ナガサキアゲハ、ツマグロヒョウモンの3種で、食草が多くある関係で当地にて繁殖し、定着したものと思う。クロコノマチョウはイネ科のススキ、いね、たけ、ささ、など、ナガサキアゲハはみかん科のウンシュウミカン、キンカン、ユズ、サンショウ、カラタチなど、ツマグロヒョウモンはスミレ科のスミレ、ノジスミレ、パンジー、タチツボスミレなど多くのスミレ類など。採集結果の比較では、結局22種が40年の過去に森林や原野が開発された結果、限られた植物などを摂食する蝶が減少したのである。
生きているものすべてが持ちつ持たれつの関係にある。

 
      
     テングチョウ テングチョウ科

ウラゴマダラシジミ   シジミチョウ科

群馬昆虫の森、先生の話しで、“シジュウカラ”という野鳥の子育てを例にとると 5羽の雛が巣立つまでの約20日間、親鳥2羽が蛾の幼虫を約3500匹運んだことが確認されたそうだ。1羽あたり約700匹の幼虫を食したことになる。この時期は6月で蛾も産卵して幼虫が多く発生する時期と重なっている。鳥がそれら幼虫を食さなければそれこそ木の葉は食べつくされ、そこら一面、蛾でその被害は計り知れない。自然界ではそれぞれがみんな食うか食われるかの生存競争で均衡が保たれているのだ。


      
      クロコノマチョウ ジャノメチョウ科
ツマグロヒョウモン タテハチョウ科

ナガサキアゲハ アゲハチョウ科
食物連鎖の中で、世界中に約113万種いる昆虫は、人間を頂点とするならば、底辺に生き、すべてを支えてくれている生き物だ。人間は昆虫を無視することができないはずだ。
昆虫に感謝すべきと 思うのは自分一人の考えか、自然の仕組みを考えれば、感謝する気持ちになるに相違ない。
昆虫から教えてもらうことは少なくない。

2011年10月30日日曜日

蝶の魅力と自然保護

21:36 2011/10/30


蝶の魅力と自然保護


最近、自然環境の保護が、ずいぶん一般の関心を呼ぶようになった。
掛け声ばかりで実行するとなると非常に難しいところがある。
依然として環境破壊が続いている。人間の一方的な利益のために、生き物たちが犠牲になっているのが現状だ。少しの雑木林でもあれば、森林性の蝶や昆虫が生きられるのに、きれいに手入れをされ、きめられた草花や植樹で整備された公園では生き物は生きられない。
なぜなら蝶や虫たちの多くは、雑食性のものもいるが、ほとんどが限られた食物しか摂食しないのでその植物がなければ生きられないのである。それに高度経済成長が続いて、いつの間にか自然が失われてしまった。

減少している貴重な生き物を指定して保護することは、もちろん大切なことであるが、固体を指定保護するよりも、まずその摂食する植物環境を整えることが先決だ。人間が生活向上を望むのは、あたりまえだから開発は止ない。自然の仕組みをよく考慮して、その場所が開発可能か否かを決定すべきである。自然の仕組みを理解しないでやたらと開発をしたら災害にもつながってしまう。
そこでこれからどのようにしたらよいか実行することは、虫くい状態に残されたところ、里山の植物を大切にすること、都市部公園でも生き物が共存できるように整備してもらいたいものである。各家庭の庭にも草花をおくことも大切だが、昔からこの辺の土地にあった山野草、蝶や虫たちの摂食する食樹、たとえば みかん、きんかん、ゆず、サンショウなど蝶になってから吸汁に訪れる草花、アザミ、つるがのびて邪魔になるがヤブカラシ はぎ、ヒャクニチソウ、ぼたんクサギ、などいろいろなものを庭の配置を考慮して植えておくことが、身近にできる環境保全につながるものと思う。


     
      
小倉の森

小倉の森


 
      
    樹液を出すクヌギ
森の掃除屋 オオヒラタオサムシ
 

2011年10月21日金曜日

オオムラサキ飼育

14:23 2011/10/21

  オオムラサキの飼育(5)

蛹化への脱皮、前蛹から2日後脱皮開始 最初胴体側面に白線が現れ
頭部から順次脱皮する。割れた頭殻が本体伸縮運動によって次第に尾端へとせり上がってゆく、脱皮最終段階では尾端部のカギを糸束にしっかりと固定して殻を振り落として終了する。所要時間約70分の仕事。
蛹化から14日経て羽化の開始、眠起から約3ヶ月経過、頭部の殻が裂けて頭部から胸部、脚部、腹部と順次脱出、腹部が殻から抜け出ると羽化約3分の所要時間を経て終了、頭部を上にして静止羽が伸びきると汚物を排泄して翅の固くなるのを待ち、羽化後約4時間で飛翔した。


蛹への脱皮





蛹と終令幼虫

 
羽化 約3分で殻から脱出

羽化終了
  

2011年10月20日木曜日

オオムラサキの飼育

18:50 2011/10/20

   オオムラサキの飼育(4)

4月6日 約170日の越冬休眠から眠起(目覚め)し 21日経過して第4回目の脱皮、5令初期の幼虫、体長約22mmに成長した。
眠起後57日経過して第5回目の脱皮、6令幼虫となった。初期段階での体長約44mm、体重876mgと成長、眠起後77日経て計測した結果、体長約69mm、体重4900mgとなった。その3日後前蛹化した。エノキの枝と葉に念には念を入れ糸を吐き出し貼り付けその作業約90分で逆さまに吊り下がり静止して蛹化を待った。

      
     眠 起 越冬の眠りから覚めて
     エノキに登り木の又などに台座を
      作り静止、夜間新芽を食べに出かける





















   
 5令初期の幼虫
 
    








 6令幼虫(終令)

           
前蛹体


2011年10月15日土曜日

オオムサキの飼育



15:01 2011/10/15

オオムラサキの飼育(3)

その後脱皮を3回(ときに2回)繰り返して4令(または3令)に達し(9月25日3回目の脱皮)体長約16mm、体重約68mgと成長、10月中旬には摂食を停止、絶食に入った幼虫は、葉表の台座(糸を吐いて静止)に静止して越冬準備をする。やがて体色が淡茶褐色の枯葉色に変化し11月9日、台座から離れてエノキの株元の枯葉にもぐり込んで葉裏に台座を作って、翌年4月中旬~5月初旬まで約170日~180日間の休眠に入った。この間も摂食しない。    
 * 体長、体重の測定 
平成17年11月26日 検体6個の幼虫 平均体長約17mm 
                       平均体重約92mg
平成18年 3月10日 検体6個の幼虫 平均体長約14mm 
                       平均体重約53mg
越冬休眠中の絶食により個体はかなり消耗しているようだ。
体長約3mm、体重約39mg減少したことになる。冬の寒さ、乾燥などを防ぐ為、乗り切るには体面積を小さくする必要があるのかな?いやあるがまま自然に消耗して減少すると考察した方が妥当と思う。


 
4令初期体長約14mm









4令中期体長約16mm体重68mg









4令末期の幼虫越冬の準備
体長約18mm      









4令越冬幼虫、左はゴマダラチョウ
  

2011年9月30日金曜日

オオムラサキの飼育

17:02 2011/09/30

    
オオムラサキの飼育(2)
 
 
産卵直後は淡緑色、3日後表面の変色が始まり、やがてブドー色から全体が暗緑色に変色して産卵から7日経過で孵化、(無精卵は淡緑色のままで変色しないから判別できる)体長約4mm、体重約3mg(白米1粒約20mgの約7分の1)の頭の黒いのっぺりした1令幼虫となり孵化直後に自分の卵殻を食べ始め全部食べ終わると三々五々それぞれ食樹エノキの葉上で台座を作り静止する。 台座から糸を吐いて葉を食べに出かけ、食べ終わると再び吐いた糸をたどって台座に戻る。1令幼虫の期間6-9日経過、脱皮して2令幼虫と成長する。2令では頭部にツノを生じ、背上の突起も鮮明になる。2令幼虫の期間11-15日経過で脱皮して3令幼虫と成長、3令では体長約13mm、体重約42mg、背上の突起が高く鋭い三角状となり、朝、夕の摂食後台座で静止する。 



    
産卵から7日経過 孵化






1令幼虫 体長4mm体重3mg


   
1令幼虫の期間6-9日経過
脱皮して2令幼虫





 

2令幼虫の期間11-15日経過
脱皮して3令幼虫


2011年9月26日月曜日

オオムラサキの飼育

 15:13 2011/09/26

オオムラサキの飼育(1)

自宅の飼育ハウスはW1200mm×H1800mm×D450mm網目1mmの木造で極小さいものなので、幼虫の飼育は10頭ほどしか飼育出来ない。
もちろん食樹のエノキ(エゾエノキも含み)は鉢植えのもので、半分ほど摂食されたら新しい鉢と交換。手持ちの鉢植えエノキは24鉢、ハウス内には常に3鉢を入れて飼育。群馬国蝶オオムラサキの会の友人から小さなハウスではペアリング(交尾)しないと聞いていたので、ハウス内でのペアリングは人工ハンドペアリングに頼るしかなく何回となく試みてみたが、なかなか成功しない。
オオムラサキにも♂♀の生育状態で可・不可があり、相性があるのか?個体数が少ないとどうもうまく行かないようだ。
そこで千葉県東金市在住の大きなハウスで飼育している友人、飼育の先輩からペアリング済みのペアーを3組頂き、自宅の飼育ハウスに移した結果、鉢植えのエノキに産卵させることができた。エノキの葉にしがみついて一生けんめい次世代につなぐための産卵は葉裏へきれいに貼り付けてゆく、親蝶から教えられたわけでもないのに、引き継いだ本能で産みつけてゆくのだからたいしたものだ。そのメカニズムはどうなっているのだろう。あれやこれやと推測することには興味が尽きない。さっそくデジカメに記録した。

  
        求愛行動 左♂ 右♀


                              
                           ペアリング 上♂ 下♀

産卵
   















 
変色

 平成16年6月28日 産卵(交尾後7日経過)数は2~3回にわけて130個ほど(最高約500個の記録があるそうだ)をエノキの葉裏に産みつけた。産卵直後は淡緑色、3日後表面の変色が始まり、やがてブドー色から全体が暗緑色に変色する。

























2011年9月23日金曜日

”オオムラサキ”とはどんな蝶!

14:26 2011/09/23

“オオムラサキ”とは、

日本を代表するチョウで国蝶とされている。国蝶については、古くから議論されていたが、なかなか決定されなかった。1957年の日本昆虫学会において、オオムラサキを国蝶にすることが決められ、これが現在まで定着している。前翅長は43~68mmと大型で、裏面の地色は銀白色のものが関西系といわれ、そして黄色のものが関東系といわれるものがある。翅表は♂が青紫色の輝き、その中に白色斑、周辺に黄色斑をもつ。♀は♂より大型で、地色が黒褐色で、白色斑と黄色斑がある。後翅の後角部には赤色斑をもつが、これを欠くものがある。
              
                     ♀              ♂
        
故江崎悌三博士(1956)によると、イギリス人の園芸家フォーチュン(Fortune)という人が神奈川で採集して持ち帰ったものを、文久3年(1863)ヒューウィトソン(Hewitson)という蝶学者が名をつけて学会に発表した、と述べています。今から147年も前に蝶リストに登録をすませ昆虫界にデビューしたことになります。日本人は昔から知っていて、江戸時代の虫譜にも載っているそうです。本種の和名はオオムラサキ、これは万国共通ではなく、あくまでも日本だけに通用する名称です。 

学名 = 属名 Sasakia (ササキア) 種名 charonda(カロンダ) 命名者Hewitson(ヒューウィトソン) 属名のSasakia は日本昆虫界の先達、佐々木忠次郎博士にささげられたものです。種名のcharonda については、白水・黒子両氏の著書“蝶と蛾”(1966)に“西暦7世紀前のCatanaの祝福された計算者の名CHARONDASからきているものと思われる”と述べられています。

                      関東系                   関西系
                 

2011年9月14日水曜日

ちょうちょうの天敵

10:48 2011/09/14




オオムラサキの2令幼虫を捕獲して肉団子にする
セグロアシナガバチ数分の作業で見事な肉団子を
作り巣へ持ち帰るべく飛び立った。
2010.08.18 撮影 自宅飼育にて


                                                                       
                               セグロアシナガバチの巣
  



アメリカシロヒトリの幼虫を捕獲して肉団子にする
セグロアシナガバチ数分の作業で見事な肉団子を
作り巣へ持ち帰るべく飛び立った。
2010.08.18 撮影 自宅飼育にて
   

2011年9月5日月曜日

”ちょうちょう”とは

20:10 2011/09/05
“チョウチョウ”とは
ほっかほっかの小学生1年生のとき、初めて教えられた歌が“ちょうちょう”であったことを覚えている。“チョウチョウ”といえば菜の花にとまり、花から花へと飛んで蜜を吸う。そんな光景は誰もが知っている“モンシロチョウ”を連想するに違いない。しかし”国蝶のオオムラサキ”“アオスジアゲハ”のようなきれいな蝶もいるのである。
“チョウ”とは何か、チョウは昆虫の仲間である。現在この地球上にはおよそ150万種の動物が棲んでいるとされその75%以上を昆虫が占めると云われている。
昆虫は体が頭部、胸部、腹部の三つの部分に分かれ、胸部と腹部はさらに小さな環節からなる。胸部には3対(6本)の脚と2対の(4枚)の翅をもつ。なかには翅をもたない種類や幼生期には異なった形態をしているものもある。
チョウの幼虫であるイモムシやケムシは、翅がなくたくさんの脚をもつ頭部に近い前の3対が成虫の脚になり、後の5対の腹脚は成虫になると消滅してしまう。幼虫時代すでに翅の原基が形成されているが外部からは見えない。
“チョウ”は“ガ”をふくめた“鱗翅目”というグループの一員であるカブトムシやクワガタムシなど固い2枚の翅がある“鞘翅目”、いわゆる甲虫類に次いで種類が多い。世界中で15万種におよぶ鱗翅目が知られ、そのうち約2万種余りが通常チョウとよばれている。ガのほんの一部がチョウなのである。
フランス語のPapillon(パピヨン)はチョウとガを区別していない。チョウは昼のパピヨン、ガは夜のパピヨンというように呼ぶ。チョウの大部分は昼間活動し、ガのほとんどは夜に飛翔する。しかし例外があり、昼間飛ぶガも少なくないし、夜明けごろや夕方のみ行動するチョウもいる。日本には約230種のチョウが土着している。この他台風などによって運ばれる迷チョウなどが50種以上報告されている。ガは約4500種が知られ、調査が進めばさらに数が増えるであろう。形態から比較すると、チョウの触角は先端が丸くふくらんだ こん棒状で、ガはおもに先端がとがるヒゲ状のものや、クシ、羽毛のようにたくさんの分岐をもつ種類が多い。それでもベニモンマダラというガはこん棒状の触角をもち、昼間飛ぶガの1種である。幾つかの例外を除いてチョウとガを区別することは難しい。  (渡辺康之著 チョウ(1)から一部 引用させて頂きました)

2011年9月3日土曜日

ちょうちょうと遊ぼう

★15:32 2011/09/03
ちょうちょうと遊ぼう
古希を迎えたが歳のことは考えず、中学三年生の頃に戻りオオムラサキことオオムラ君や他の蝶たちと遊ぶことにした。
蝶の変態には驚きが一杯だ。卵、孵化(フカ)脱皮を数回繰り返して緑色の幼虫に、黒色の毛虫に、そして蛹にと変化、何日かの時を経ていよいよ羽化(ウカ)蝶としてこの世の空間へ自由に飛び立つ。その姿に乾杯だ!
あの緑色の虫、あの黒くて怖そうな毛虫からなんと美しい蝶に生まれ変われるのか?実に蝶の世界は不思議だ。これは地球上のすべてのものに云えることかもしれない。
唐の詩人李白の「春の日に酔いより起きて志を言う」という詩に“世におることは大いなる夢に似たるになんすれぞその生をつからすや・・・”という五言の詩があるのだが、むかし荘子という哲学者は胡蝶になった夢を見てあの夢の中の胡蝶がほんとうの俺でこうして人間として暮らしている俺のほうが夢なのかもしれないと。
そのように思ったとき蝶の世界にのめりこみ、それを知って、桃源の世界に浸るのが楽しくなる。
平成16年10月26日